母kazukoさん、え? 新型コロナ!

 

コロナ騒ぎは、広がるばかり

95歳の母kazukoさんの老人ホームでも

面会が出来ず

頼み込んで、テレビ電話をお願いし

アプリのZOOMを使ってみた

でも

kazukoさんの反応は、イマイチ

動画を観ている感覚で

リアルタイムで話していることが

わかりにくい

何度かトライすればわかるかも、と

言っている矢先

kazukoさんの肩部分に出来た

帯状疱疹が酷くなり

施設の医師の指示で

急遽、大病院へ入院となった

 

入院のために

ようやく久しぶりに

病院で、kazukoさんと会った

「 美智子ちゃん、どうしたの?

しばらく会ってないけれど

からだ大丈夫?」

「 元気だよ!

ねえ、ママ、東京タワーよ、見て!」

病院の11階の窓には

驚くほどに大きく美しい東京タワーが見えた

kazukoさん、ふぉ〜と感心してる

車も人も少なくなった東京の空は

美しい

 

認知があるとは言え

物事を納得できないと

絶対受け入れることはしないkazukoさんに

今回の入院の説明をしなくてはいけない

ゆっくり説明しようと一緒に病室へ

しかし、病室の前で、突然面会謝絶

全ての面会者は、入ることは出来ません

え〜!

でもでも

まだ何も説明出来ていないのに!

kazukoさん一人、病室へ

 

ガックリしながら、待つことしばし

診察をした医師との面談となった

帯状疱疹はほとんど治りかけていること

「 だから、せっかく来て頂いたけど

病院は感染するリスクもありますからね

入院する必要はないですね 」

え? そうなの?

肩透かしを喰らった感じだけど

まあ・・・良かった

入院の説明も出来ていなかったからね

kazukoさん、今頃、不安になっているものね

退院か(入院もしていないけど)

良かった〜!


と、ここで

事態は、思わぬ方向へ進む

 

ただ、念のため

そう、ただ、念のため

血液検査をすることとなった

その結果、炎症反応が高い、と出た

続いて

今度は、CT検査となった

と、ここで

何と、肺炎の症状が見られたのだ!

 

「 肺炎なので、お母様は隔離されます 」

え? え〜〜〜!

隔離の個室に移され

点滴の処置が施され

限られた数の人が防護服で様子を見る

え? え〜〜〜!!

 

「 新型コロナの可能性があります 」

へ? え〜〜〜〜!!

そんな!

一体誰から移るの?

私は2週間も会っていないし、

施設で移ったとしたら、皆感染してる

え? もしkazukoさんがコロナだとしたら

私、さっきから

耳元で大きな声で話して

顔も触って、鼻もかんで

かなりの濃厚べったり接触者

だったら、私も感染?

そしたら

私の家には

今、病気を抱えている人がいて

どんなことあっても

絶対にコロナにはかかれないのに!

 

焦った私の姿を見て

慌てて若い女医さんが言った

「 あ、すみません

私の言い方が悪かったです

肺炎の方は

全てコロナの疑いがあるとの認識で

全て、3日間隔離される決まりなんです 」

PCR検査をすることが難しいため

丸3日間、隔離して

炎症反応が治るかどうか見るとのこと

いや、でも

kazukoさんは何もわかっていないのに

突然、私と引き離され

部屋に入ってくる人は防護服の人達

しかも、点滴を抜かないため

両手は、ミトンの手袋をされて

ベッドの中に、監禁状態

どんなにか不安で

パニックになることだろう

 

しかし、どんなに交渉しても

もちろん会うことは出来ない

せめて、3日間の様子だけでも

教えて欲しいとお願いしたが

こちらから問い合わせて伝えることは

プライバシーの保護で難しいとのこと

 

それからの3日間

生きた心地がしなかった

もしコロナだったら

もし、このまま帰らない人になったら

一生会わせてもらえなくなる

たとえ、コロナでなくても

ミトンを振り回して怒り

パニックになっているkazukoさんの姿が

何度も夢に出てきた

 

そして3日後

ドキドキしながら、医師との面談をした

「 炎症反応も、かなり治まりました

肺炎は、誤嚥性肺炎と考えられます

明日、退院しても、いいでしょう 」

全身の力が抜けた

 

4日後

退院するため

隔離されていたkazukoさんの部屋を訪れた

認知のあるkazukoさん

入院するたびに、どうしても認知は進む

今回の、尋常じゃない、監獄のような入院で

私のことが分からなくなっていないかしら

言葉を忘れていないかしら

 

「 あ、美智子ちゃん

これ!これ!これ取って〜〜!」

kazukoさん、両手をバンバンと

布団に叩きつけている

見ると、まだミトンが、両手に嵌められていた

怒りの表情だけど

ちゃんと私のことはわかってくれたよ

すぐに看護師さんを呼び

厳重に鍵がつけられたミトンを外してもらった

良かった、良かった!

今、世界中にウイルスが蔓延していること

だから、kazukoさんも、隔離されたことなど

耳元で、大きな声で、何度も説明した

「 戦争?」

前に説明した時も

kazukoさんが、そう言ったっけ

その時、私は否定したと思うけど

今回は否定できなかった

「 うん・・・それに似てる 」

いろんな話をして

ようやくkazukoさん、落ち着いて

退院とあいなった

 

でもね

施設に戻ると、また会えなくなった

もうこれはしょうがない

テレビ電話に慣れてもらうしかないかな

 

母 Kazukoさん | 14:29 | comments(4) | -

絵の力 脳の不思議

 

この頃の母、kazukoさん

めっきり無口になり

認知症も進んでいて

会いに行くたび

ちょっと悲しい気持ちになってしまう

 

施設のラウンジで

毎日のように、ケアの皆さんが

絵が得意なkazukoさんの為に

色鉛筆を出して

絵を描かせようとしてくれている

でも

kazukoさんは、まるで乳児のように

少し描き殴るだけで

すぐに眠ってしまったり

トイレに行きたいと訴えたり

絵には程遠い

その姿を見る度に、寂しくなってね

大好きな絵さえ

描かなくなってしまったんだ・・・と

胸が、いつもザワザワしていた

 

訪れたこの日

いつものようにkazukoさん

色鉛筆で、プリント用紙の裏に

何かを描いていた

前に置かれたお正月のお飾りらしい

kazukoさんの隣に

カレン、セリーナのカートを置き

私も、目の前に座って見学

kazukoさん

「 かわいい、かわいい 」と

カレン、セリーナの頭を撫でる

しばらくした頃

スイッチが入ったように

色鉛筆を次から次へと出して

描きかけていた絵に

色を加え出した

その筆圧は、しっかりしている

顔の表情が、どんどん真剣に変わった

あ〜

昔のkazukoさんの顔

ママの顔

 

やっぱり途中で

眠くなってしまって

完成はしなかったたけれど

寄せ集めの色鉛筆で描いた絵は

kazukoさんの力強いタッチ

 

その後

帰る私を見送る時には

「 車の運転、気をつけなさい!」

と、いつも昔声かけたように

大きな声で、笑顔で見送ってくれた

昔の、ちょっと口うるさいkazukoさん

戻って来た、kazukoさん

 

この「 絵の力 」

一時的なものなのかもしれないけど

その威力にびっくりした

そして何よりも、嬉しくなったよ

人の脳味噌って、不思議だ

 

今度はね、ママ

もっと描きやすいクレヨンのセットと

スケッチブック

持って行くからね

もっと、違う絵を描いてね

もちろん、カレンちゃん、セリーナちゃんも

隣で、しっかり鎮座して、応援してもらうから

 

 

 

母 Kazukoさん | 13:54 | comments(2) | -

生き抜くってさ

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母kazukoさんは、8月の末に

95歳の誕生日を迎えた

 

今年の初めには

寝たきりになり

言葉も話せず

そのままかと思われた

しかし

何度も言うけれど

奇跡的に回復して来ている

 

この日は

リハビリの時間に居合わせた

平行棒を行ったり来たりのリハビリ

途中で、愛犬のカレンやセリーナが

目の前を横切ると

こちらは、ハラハラするが

そんな事お構いなし

kazukoさんは

歩きながら、嬉しそうに手を出して

頭を撫でようとする

カレンとセリーナが見ているから

kazukoさん、張り切ったのかもしれない

休みながらだけど

平行棒を行ったり来たり

何と、8回も往復したのだ

 

kazukoさんを見ていると

生きる、生き抜く姿が

切々と伝わってくる

でも

生き抜くと言うのは

誰にでも出来る事ではないんだよ

果たして、私に出来るんだろうか

生き抜くってさ

大変だ

でも生きなきゃ

生き抜かなきゃ

だろ?

 

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母 Kazukoさん | 13:16 | comments(0) | trackbacks(0)

台風と、お母さん

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関東地方を襲った台風

朝、雨が止んだところで

ワンコのお散歩に、公園へ

立派な桜の、太く長い枝が

何本も折れている

春には、あんなに美しい桜を

たわむほど、鮮やかに咲かせてくれたのに

痛かったね・・・

太い幹を、何度も撫でた

 

目をやると

今度は

子供用のプールだろうか

大きなビニールのプールが

公園に鎮座している

どこかのお宅のベランダから

飛んできたらしい

今頃、お母さんは慌てているだろうか

子供達は「プールがない!」と

泣き叫んでいるだろうか

 

ふと、幼い頃を思い出した

育った、三重県の伊勢市は

頻繁に台風に襲われた

その度に、母は一人で

窓に板をトントンと打って防御し

トンカチ片手に

あちらこちら、駆けずり回って

家中の補修をして

台風に備えていた

いざ、台風が来て

どこかの板やトタンが外れかけると

豪雨の中、合羽着て、外に飛び出した

まだ幼い私は

洗濯機の中に入れられた

「 ここを動いちゃダメよ!」

木造の一軒家では

雨の音も風の音も容赦なく耳に入る

グォ〜〜、ガァ〜〜〜、ギィ〜〜〜

あの日は、伊勢湾台風だったのか

暗い洗濯機の中で、震えていた

あの頃の母は

まだ30代で、でも

逞しかった

でも、でも、

きっと心細かったに違いない

女手一つで子供を育てるのは

困難も偏見も多かった時代だもの

半世紀以上昔のこと

今頃になって、あの頃の母を

抱きしめてあげたくなった

 

そう言えば

私も、小さくはあるけれど

子供用のビニールプールを

買ってもらっていたっけ

でも、庭に置いていたプールを

母は、台風の前には

仕舞っていたはずだよ

母kazukoさんは、必ず仕舞っていた

 

さて

プールの持ち主のお母さん

今度は、しっかり片付けておこうね

あ、その前に

公園に置かれたプール

ちゃんと見つけられたかしら

このプール

どこのお宅のプールですか?

 

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母 Kazukoさん | 12:27 | comments(0) | trackbacks(0)

ママからの、令和テレフォン

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突然

夕方、iPhoneの着信音が鳴った

母、kazukoさんの音色だ

え?

ママから・・・電話?

 

今年初めに倒れてから

kazukoさんからの電話はない

いや

あったことは、あった

kazukoさんの音色に驚いて電話をとると

「 み、水〜〜〜!」

「 誰か、来て〜〜〜〜!

「 い、痛い〜〜! 助けて〜〜!」

ナースコールと間違えているだけだった

そんな時は

そっとkazukoさんからの電話を切り

慌てて施設に電話し

ナースやケアの方に部屋に駆けつけてもらう

そんなことが、数回あったから

この日も、そんな電話かと思った

 

でも、ちょっと確かめるように

落ち着き払ったふりをして

「 もしもし・・・」

と、電話に出た

「 ママ・・・どうしたの?」

ほんの少しの沈黙

「・・・あ・・美智子ちゃん?」

驚いた

電話で、kazukoさんが喋った

ちゃんと相手が私とわかって、喋った

「 そう、そうだよ、どした? どっか痛いの?」

「 あのね・・・」

「 どした?」

「 ご飯、どうすんの?」

「 あ、ご飯ね・・・うんうん

今、5時だから、後30分で、夕ご飯だよ

でも、5時から、リビングでお口の体操があるの 」

「 ふ〜ん・・・」

「 お口の体操、する?」

「 うん・・・でもねえ

私、一人で行けないから、迎えに来て 」

「 うん、わかった! 

誰かにお部屋に行ってもらうから

待っててね、電話切るよ!」

「 はーい 」

電話を切って、施設に電話する

いつの間にか、目から

汗みたいに、タラタラ、涙、落ちた

 

kazukoさんの携帯は

お年寄りや子供向けの「見守り携帯」

壊れてしまって、ストラップも付けられない

愛犬のボールが入っていた網の袋に入れ

工夫して、ぶら下げている

そもそも、この携帯

今年11月には

サービスが終了となってしまうと

ソフトバンクから通知されていた

 

もう使わないからいいや

そう思っていたけれど

もしかしたら

ママ、

11月以降も、使う?

電話する?

してくれる?

 

ただ

kazukoさんからの電話は、2週間前のこと

たった一回きり

その後

「ママ」と表示される着信音は

一度も、鳴っていない

 

でもね

この電話

今年になって

一番、嬉しかったことだったんだよ

今年前半期のベストワン

令和の一番!

 

ありがとうね、ママ

 

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母 Kazukoさん | 20:50 | comments(1) | trackbacks(0)

平成は、飛んで行く!

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平成の時代って

へえ! 30年もあったんだ!

 

いつまでも、「平成」に慣れなくて

もしかしたら

あまり「平成」と言う文字が

何の理由もないけれど

好きじゃなかったのかもしれない

元号と言えば、いつも「昭和」と浮かび

いやいや、平成だった、と

頭の中の「昭和」の文字を

消しゴムでゴシゴシ消していた感じだ

そんなこと、私、30年もしていたのか

 

でも、「令和」は、感覚的に好き

すぐに、体に脳に、刷り込まれそう

頭の中の消しゴムもいらないかもしれない

 

昨日

kazukoさんの施設を訪れたら

部屋のクローゼットに

達筆な「令和」と言う文字が

ペタリと貼られていた

 

今年の初めには、もうこのまま

寝たきりになると思っていた

94歳の高齢だから

平成で終わりでも仕方ない

そんなことを、思われていたkazukoさん

 

「 えぇ〜〜! ママ、書道できたの?」

と聞いたら

「 そんなの、私、書いてないの、

おかしいのよ 」

そんなことはない

明らかに、文字は、kazukoさんの文字

署名まであった

施設のお習字の時間に、書いたらしい

忘れてしまったんだね

 

あぁ、なんて、嬉しい!

指も使えなかったはず

食事のスプーンも持てなかった

言葉も「うぅ」「あぁ」しかなかったのに

 

あのお花見以降、めきめきと回復していた

 

ただ

体は、骸骨のように痩せ細っていた

ふと思い付き

タッパーウエアに

色んなお菓子を入れて

kazukoさんの枕元に置くようにした

少しでも、体重を増やしたいから

食べられるものを出来るだけ入れた

大好きな、甘納豆やチョコレート

でも、乳酸菌チョコの個別包装は

不自由な指では、開けられなくて

こちらが、開けて入れていた

でも、ある日、時間かけて

自分の指で、開けられるようになって

そしたら

入れてあるチョコ、全部食べてしまった

でも、いいの

好きなものを、好きなだけ食べればいいの

やがて、指が自由に動くようになった

 

94歳にも、未来は、ある

 

文字を見ていたら

令和の時代

いいことだらけの気がして来た

もちろん、色んなことはあるだろうけど

このkazukoさんのお習字は

私の、令和のお守りにしようと思う

 

大正、昭和、平成、令和

すごいよ!

四つの時代を生き抜くなんて!

さ、平成をぶっ飛ばして

令和に、向かおう!

 

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母 Kazukoさん | 12:36 | comments(3) | trackbacks(0)

桜はね、神様からのご褒美

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今年の桜は本当に長くて、ありがたかった

 

桜はね

神様からのご褒美だと思っているの

去年のご褒美は、短かったけれど

今年のご褒美は

素晴らしかった! 

ねえ、神様!

ありがとうございます!

 

母、kazukoさん

1月に手術して、生死の境を彷徨い

退院してはみたけれど

足は、全く立たず

寝たきり状態になってしまっていた

あんなにお喋り好きだった人が

黙りこくって、虚ろな表情

そんな日々が続いていた

ベッドに横たわるkazukoさん

会うたびに悲しくなって

でも

ずっと、大声で、声かけていた

「 春になったら、お花見行こうね! 」

1月にも、2月にも、3月にも

ずっと、耳元で、がなっていた

でもさ

きっとお花見なんて

行けないだろうと思ってたの

もう無理だろうと思ってたの

 

でも、薄皮を剥ぐように

ほんの少しずつ

口数が増えて

美声自慢だったのに

地面を這うように低い嗄れ声で

「 お・は・な・みぃ、いくうぅぅ〜」

と、答えてはくれるようになっていた

 

そして、

施設からのイベントのお花見に参加した

施設の方の手を借りながら

カレンちゃん、セリーナちゃんのリードも

物が持てなかった手で掴み

公園のお花見を散策できた

「 うわ〜、うわ〜 」と言いながら

桜並木を、車椅子で堪能した

 

もしかしたら

車に乗せて

もっと見せてあげられるかもしれない

 

桜の見頃が長かったから

別の日に

私一人で、思い切って、kazukoさんを

車に乗せ、お花見することにした

都内の桜の名所を

助手席から眺めてもらうんだ

1時間あまりのドライブ

耐えられるかどうか心配したけれど

車窓からの満開の桜を

kazukoさんは、口を開けながら見入った

増上寺、ANAホテル、ミッドタウン

またもや、低い声で呟いた

「きれえぇ〜、きれ〜、あぁ、きれ〜 」

毎年通る青山墓地の桜並木も満開

「こんなきれ〜な桜、生まれてぇ、初めてぇ」

生まれて初めて・・・

って、ことはないだろうけど

生まれて初めてなくらいに思ってくれたこと

胸が熱くなった

 

「 お花見なんて、出来ると思ってなかった 」

 

施設でお世話してくれるスタッフに

そう伝えたら

彼も、遠慮しながら、答えた

「 退院した和子様を拝見した時

これほど回復すると、思ってませんでした」

8年半前

この施設にkazukoさんが入った同じ時期に

ケアスタッフとして配属された彼は付け加えた

「 本当に・・・奇跡ですね 」

奇跡・・・ホント、奇跡だ

涙が溢れそうになって堪えたら

同じように

彼の目も赤く潤んでいるのが、見えた

 

だって、94歳だもの

いつ逝っても仕方ないと

人は、言うかもしれない

でもね

生きている限り

感動する心を持っている限り

出来るだけ

いっぱいの感動を

味わってもらいたいさ

楽しんでもらいたいさ

 

神様からのご褒美

今年の春は、満喫しましたよ

ありがとう

神様

 

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母 Kazukoさん | 12:46 | comments(2) | trackbacks(0)

奇跡の生還だった

実は・・・

母kazukoさん、あの後

卵巣摘出の手術の後

回復していたのに

その後

容態が急変し

危篤状態に陥っていた

 

真夜中の3時

病院から電話を受けた

敗血症から肺炎を起こし

山場であると

 

確かに嫌な予感がしていた

前日、術後回復したkazukoさんが

突然、真顔になって、私に言った

「 美智子ちゃん、

あなたみたいな素敵な娘を持って

私は幸せですよ

ありがとう!」

へ?

何言い出すんだろ

やめてよ

「 はい、こちらの方こそ、ありがとう 」

そう答えていたものの

とても不安になった

遺言みたいなこと、言わないで

 

その予感が的中した

 

94歳という年齢も考えて

延命治療はしないことになった

「 ご本人の力で回復出来るかどうか・・・」

担当の医師が、口ごもった

 

ICUの病室で会ったkazukoさんに

私は涙ながらに

「 ごめんね、ごめんね 」と叫んだ

なぜ、「ありがとう」ではなく

「ごめんね」なのか

自分でも分からない

 

取り敢えず、夜になり、家に戻り

少し、休んだ私

 

突然、尾籠な話で申し訳ないが

トイレに駆け込んだ

水のような下痢

普段、便秘気味な私だから

下痢なんて、珍しい

でも、腹痛はない

驚きながらも

あ・・・もしかしたら

kazukoさん、助かるかも

ふと、そう思った

 

7年前、kazukoさんが

危篤状態になった時

私は、愛犬カレンの後頭部が鼻に当たり

鼻の骨が折れてしまい、大出血をした

それと同じような時間に

kazukoさんが奇跡的に回復の兆しを見せた

(12/12/17「大出血は不幸中の幸いの厄落とし」

もしかしたら

私の体の異変は

kazukoさんの回復の証ではないか

 

嘘みたいだけど

その通りだった

 

次の日、ICUを訪れると

kazukoさんは、驚くほど良くなっていて

危篤状態から脱出していた

先生が仰った

「 正に、これは奇跡ですね 」

 

その後、私の体の不調は数日続いたけど

kazukoさんの体はメキメキ良くなっていった

 

そして、退院

 

まだまだ立つことも出来ないし

言葉もはっきりしないし

ぼーっとしているけれど

菌が蔓延している病院から

早く退院した方がいいとの

医師の判断だった

 

退院して、すぐにカレンとセリーナを

連れて行った

表情は、以前のように快活ではないけれど

「かれ〜〜ん」「セリ〜〜〜ナ」と

呼んでくれている

「 私は、これから、長生きするよ〜」

今までも長生きだけど

これからも長生きするのね

 

母の命と、私の体の変調

何の因果関係だか分からないし

関係があるのかどうかも分からない

 

ただ

母一人娘一人で育った私達親子には

自分でも気づかない

強い、何かの結びつきがあるんだろう

そうとしか、考えられない

 

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母 Kazukoさん | 16:14 | comments(2) | trackbacks(0)

94歳、今年最初の挑戦

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お正月の二日

母kazukoさんと、おせち料理を頂いた

kazukoさん、完食した

でも、食後

お腹が痛いと

私の手をお腹の上に導いた

お通じが溜まっているのかな?

でも

いつもと違うお腹の腫れにも思えた

施設のナースの方に

いつもより、様子を診てくださいね

と、お願いをし

今年のkazukoさんの健康を願いながら

施設を後にした

 

1月4日

お腹の激痛で

kazukoさん、緊急入院と連絡!

主治医と話するのに案内されたのは

内科ではなく、・・・婦人科?

 

卵巣が腫れて悪性腫瘍かもしれない

捻れも予想される

若い人なら

今すぐに手術をします

でも、94歳

果たして、手術に耐えられるかどうか・・・

先生、それは、無理

ペースメーカーだって入れているし

手術なんて、無理でしょ?

先生!

確かにそうです

出来るだけ、手術は、回避したい

2、3日、点滴で様子を見ましょう

 

でも

3日経っても激痛は治まらず

痛みを取るには

手術しか、方法がなくなった

 

どうしよう・・・どうしよう

kazukoさんに説明した

「ママ、卵巣が腫れてるの」

「まあ、腫れてるの?」

「手術で卵巣取らないと、痛みが取れないの」

「あら、まあ」

「私もね、ニューヨークで卵巣手術したけど

腹腔鏡で、日帰りだったのよ」

「え〜! 日帰り?

アメリカは、酷いわね〜

美智子ちゃん、可愛そうだったわね〜

辛かったわね〜」

「ママは、お腹切らないといけないの」

「日帰り?」

「日帰りじゃないよ」

「良かった」

「手術してもいい?」

「まあ・・・仕方ないわね」

 

手術室に向かう直前に

kazukoさんの写真を撮った

「ママ、笑って!」

kazukoさん、笑ってくれた

 

そして

2時間後

手術、無事成功

悪性の腫瘍ではなかったけれど

卵巣が大きく腫れ

捻れていた

この捻れが、激痛の原因だった

 

これからの術後

想像以上に大変になるだろうけど

ひとまず、安心した

94歳のkazukoさん

その生命力には感服した

 

2月中旬に控えている舞台

蝶々夫人とスズキ」の

直前の手術でなくて良かった

こんな時にも

kazukoさんは

ちゃんと、タイミングを見てくれるんだ

 

神様、ありがとう

今年も

神様に、お礼をすることが

いっぱいあるんだろう

でも

どうぞ、神様

今年も、kazukoさんのこと

見守ってくださいね

 

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手術室に向かう直前に、パチリ

 

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母 Kazukoさん | 11:13 | comments(2) | trackbacks(0)

ビギンと白薔薇の前、入れ歯飛び出した

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kazukoさん、入れ歯ないから、お顔が別人!

 

 

母kazukoさん

夢は絵描きさんになることだった

そのkazukoさんの絵を

展示に出させていただいた美術展を訪れた

 

もううんと昔

10年以上も前に描いた2点の作品

「 ビギンの思い出 」

「 ばらの季節 」

ビギンは、私の家にいた愛犬のビギンちゃん

薔薇は、白薔薇を描いた力作

kazukoさん自身は

もう8年以上、絵筆をとっていないけれど

皆様に見ていただきたくて

応募した

母の施設からお二人が引率して

連れて行ってくださった

 

kazukoさん、上の入れ歯を失くして

新しい入れ歯ができるまでの間

かなり、おばあさんのお顔

映画「万引き家族」の樹木希林さんみたい

でもね

94歳だもの

一般的には、どう考えたって、おばあさんだよ

でも

kazukoさんは、私にとっては、ママ

いつまでも、ママ

 

kazukoさん、自分の絵を見て、喜んで

付き添いの二人が絵を褒め称えると、喜んで

みんなで、くだらない冗談言っても、喜んで

kazukoさんが喜ぶと

私も含めて3人は、もっと喜んで

そしたら

kazukoさん

なんと、下の入れ歯が飛び出しちゃった!

キャ〜〜、いや〜、フフフ、ハハハ、ハハハ!

私達、4人は、絵の前で大笑い

お腹痛くなるまで、笑っちゃった!

 

帰りの車の中

kazukoさんは

トイレに行きたいと駄々をこね始め

パニックになった

でも、六本木ヒルズの裏を通ったら

ちょうど5時になって

イルミネーションが、パアッと点灯!

途端に、kazukoさんの目が輝いた

「うわあ!きれい!

こんなに綺麗なの、生まれて初めて!」

kazukoさん

生まれて初めては、ありえないと思うよ

でも

おトイレ忘れて、感動してくれたんだ

瞬間、私達3人、ホッとして、嬉しくて

また、みんなで、大笑い

 

次の日になって

電話でkazukoさんに

「 昨日のママの絵、素晴らしかったね 」

と言ったら

「 あら、私は見てないわ、行ってませんよ!」

と、宣った

へ?

あ〜ん、忘れちゃったのね、kazukoさん

でも、いいの、いいの

昨日のkazukoさんは、

あんなに喜んでくれたもの

入れ歯飛び出すほど、楽しかったもの

でもって、私達、あんなに嬉しくて

あんなに幸せな気持ちにしてもらえたもの

 

kazukoさん

早く入れ歯を仕上げてもらって

若返って

どこかへ、お出かけしましょ!

 

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母 Kazukoさん | 13:03 | comments(3) | trackbacks(0)