平成は、飛んで行く!

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平成の時代って

へえ! 30年もあったんだ!

 

いつまでも、「平成」に慣れなくて

もしかしたら

あまり「平成」と言う文字が

何の理由もないけれど

好きじゃなかったのかもしれない

元号と言えば、いつも「昭和」と浮かび

いやいや、平成だった、と

頭の中の「昭和」の文字を

消しゴムでゴシゴシ消していた感じだ

そんなこと、私、30年もしていたのか

 

でも、「令和」は、感覚的に好き

すぐに、体に脳に、刷り込まれそう

頭の中の消しゴムもいらないかもしれない

 

昨日

kazukoさんの施設を訪れたら

部屋のクローゼットに

達筆な「令和」と言う文字が

ペタリと貼られていた

 

今年の初めには、もうこのまま

寝たきりになると思っていた

94歳の高齢だから

平成で終わりでも仕方ない

そんなことを、思われていたkazukoさん

 

「 えぇ〜〜! ママ、書道できたの?」

と聞いたら

「 そんなの、私、書いてないの、

おかしいのよ 」

そんなことはない

明らかに、文字は、kazukoさんの文字

署名まであった

施設のお習字の時間に、書いたらしい

忘れてしまったんだね

 

あぁ、なんて、嬉しい!

指も使えなかったはず

食事のスプーンも持てなかった

言葉も「うぅ」「あぁ」しかなかったのに

 

あのお花見以降、めきめきと回復していた

 

ただ

体は、骸骨のように痩せ細っていた

ふと思い付き

タッパーウエアに

色んなお菓子を入れて

kazukoさんの枕元に置くようにした

少しでも、体重を増やしたいから

食べられるものを出来るだけ入れた

大好きな、甘納豆やチョコレート

でも、乳酸菌チョコの個別包装は

不自由な指では、開けられなくて

こちらが、開けて入れていた

でも、ある日、時間かけて

自分の指で、開けられるようになって

そしたら

入れてあるチョコ、全部食べてしまった

でも、いいの

好きなものを、好きなだけ食べればいいの

やがて、指が自由に動くようになった

 

94歳にも、未来は、ある

 

文字を見ていたら

令和の時代

いいことだらけの気がして来た

もちろん、色んなことはあるだろうけど

このkazukoさんのお習字は

私の、令和のお守りにしようと思う

 

大正、昭和、平成、令和

すごいよ!

四つの時代を生き抜くなんて!

さ、平成をぶっ飛ばして

令和に、向かおう!

 

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母 Kazukoさん | 12:36 | comments(3) | trackbacks(0)

桜はね、神様からのご褒美

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今年の桜は本当に長くて、ありがたかった

 

桜はね

神様からのご褒美だと思っているの

去年のご褒美は、短かったけれど

今年のご褒美は

素晴らしかった! 

ねえ、神様!

ありがとうございます!

 

母、kazukoさん

1月に手術して、生死の境を彷徨い

退院してはみたけれど

足は、全く立たず

寝たきり状態になってしまっていた

あんなにお喋り好きだった人が

黙りこくって、虚ろな表情

そんな日々が続いていた

ベッドに横たわるkazukoさん

会うたびに悲しくなって

でも

ずっと、大声で、声かけていた

「 春になったら、お花見行こうね! 」

1月にも、2月にも、3月にも

ずっと、耳元で、がなっていた

でもさ

きっとお花見なんて

行けないだろうと思ってたの

もう無理だろうと思ってたの

 

でも、薄皮を剥ぐように

ほんの少しずつ

口数が増えて

美声自慢だったのに

地面を這うように低い嗄れ声で

「 お・は・な・みぃ、いくうぅぅ〜」

と、答えてはくれるようになっていた

 

そして、

施設からのイベントのお花見に参加した

施設の方の手を借りながら

カレンちゃん、セリーナちゃんのリードも

物が持てなかった手で掴み

公園のお花見を散策できた

「 うわ〜、うわ〜 」と言いながら

桜並木を、車椅子で堪能した

 

もしかしたら

車に乗せて

もっと見せてあげられるかもしれない

 

桜の見頃が長かったから

別の日に

私一人で、思い切って、kazukoさんを

車に乗せ、お花見することにした

都内の桜の名所を

助手席から眺めてもらうんだ

1時間あまりのドライブ

耐えられるかどうか心配したけれど

車窓からの満開の桜を

kazukoさんは、口を開けながら見入った

増上寺、ANAホテル、ミッドタウン

またもや、低い声で呟いた

「きれえぇ〜、きれ〜、あぁ、きれ〜 」

毎年通る青山墓地の桜並木も満開

「こんなきれ〜な桜、生まれてぇ、初めてぇ」

生まれて初めて・・・

って、ことはないだろうけど

生まれて初めてなくらいに思ってくれたこと

胸が熱くなった

 

「 お花見なんて、出来ると思ってなかった 」

 

施設でお世話してくれるスタッフに

そう伝えたら

彼も、遠慮しながら、答えた

「 退院した和子様を拝見した時

これほど回復すると、思ってませんでした」

8年半前

この施設にkazukoさんが入った同じ時期に

ケアスタッフとして配属された彼は付け加えた

「 本当に・・・奇跡ですね 」

奇跡・・・ホント、奇跡だ

涙が溢れそうになって堪えたら

同じように

彼の目も赤く潤んでいるのが、見えた

 

だって、94歳だもの

いつ逝っても仕方ないと

人は、言うかもしれない

でもね

生きている限り

感動する心を持っている限り

出来るだけ

いっぱいの感動を

味わってもらいたいさ

楽しんでもらいたいさ

 

神様からのご褒美

今年の春は、満喫しましたよ

ありがとう

神様

 

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母 Kazukoさん | 12:46 | comments(2) | trackbacks(0)

奇跡の生還だった

実は・・・

母kazukoさん、あの後

卵巣摘出の手術の後

回復していたのに

その後

容態が急変し

危篤状態に陥っていた

 

真夜中の3時

病院から電話を受けた

敗血症から肺炎を起こし

山場であると

 

確かに嫌な予感がしていた

前日、術後回復したkazukoさんが

突然、真顔になって、私に言った

「 美智子ちゃん、

あなたみたいな素敵な娘を持って

私は幸せですよ

ありがとう!」

へ?

何言い出すんだろ

やめてよ

「 はい、こちらの方こそ、ありがとう 」

そう答えていたものの

とても不安になった

遺言みたいなこと、言わないで

 

その予感が的中した

 

94歳という年齢も考えて

延命治療はしないことになった

「 ご本人の力で回復出来るかどうか・・・」

担当の医師が、口ごもった

 

ICUの病室で会ったkazukoさんに

私は涙ながらに

「 ごめんね、ごめんね 」と叫んだ

なぜ、「ありがとう」ではなく

「ごめんね」なのか

自分でも分からない

 

取り敢えず、夜になり、家に戻り

少し、休んだ私

 

突然、尾籠な話で申し訳ないが

トイレに駆け込んだ

水のような下痢

普段、便秘気味な私だから

下痢なんて、珍しい

でも、腹痛はない

驚きながらも

あ・・・もしかしたら

kazukoさん、助かるかも

ふと、そう思った

 

7年前、kazukoさんが

危篤状態になった時

私は、愛犬カレンの後頭部が鼻に当たり

鼻の骨が折れてしまい、大出血をした

それと同じような時間に

kazukoさんが奇跡的に回復の兆しを見せた

(12/12/17「大出血は不幸中の幸いの厄落とし」

もしかしたら

私の体の異変は

kazukoさんの回復の証ではないか

 

嘘みたいだけど

その通りだった

 

次の日、ICUを訪れると

kazukoさんは、驚くほど良くなっていて

危篤状態から脱出していた

先生が仰った

「 正に、これは奇跡ですね 」

 

その後、私の体の不調は数日続いたけど

kazukoさんの体はメキメキ良くなっていった

 

そして、退院

 

まだまだ立つことも出来ないし

言葉もはっきりしないし

ぼーっとしているけれど

菌が蔓延している病院から

早く退院した方がいいとの

医師の判断だった

 

退院して、すぐにカレンとセリーナを

連れて行った

表情は、以前のように快活ではないけれど

「かれ〜〜ん」「セリ〜〜〜ナ」と

呼んでくれている

「 私は、これから、長生きするよ〜」

今までも長生きだけど

これからも長生きするのね

 

母の命と、私の体の変調

何の因果関係だか分からないし

関係があるのかどうかも分からない

 

ただ

母一人娘一人で育った私達親子には

自分でも気づかない

強い、何かの結びつきがあるんだろう

そうとしか、考えられない

 

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母 Kazukoさん | 16:14 | comments(2) | trackbacks(0)

94歳、今年最初の挑戦

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お正月の二日

母kazukoさんと、おせち料理を頂いた

kazukoさん、完食した

でも、食後

お腹が痛いと

私の手をお腹の上に導いた

お通じが溜まっているのかな?

でも

いつもと違うお腹の腫れにも思えた

施設のナースの方に

いつもより、様子を診てくださいね

と、お願いをし

今年のkazukoさんの健康を願いながら

施設を後にした

 

1月4日

お腹の激痛で

kazukoさん、緊急入院と連絡!

主治医と話するのに案内されたのは

内科ではなく、・・・婦人科?

 

卵巣が腫れて悪性腫瘍かもしれない

捻れも予想される

若い人なら

今すぐに手術をします

でも、94歳

果たして、手術に耐えられるかどうか・・・

先生、それは、無理

ペースメーカーだって入れているし

手術なんて、無理でしょ?

先生!

確かにそうです

出来るだけ、手術は、回避したい

2、3日、点滴で様子を見ましょう

 

でも

3日経っても激痛は治まらず

痛みを取るには

手術しか、方法がなくなった

 

どうしよう・・・どうしよう

kazukoさんに説明した

「ママ、卵巣が腫れてるの」

「まあ、腫れてるの?」

「手術で卵巣取らないと、痛みが取れないの」

「あら、まあ」

「私もね、ニューヨークで卵巣手術したけど

腹腔鏡で、日帰りだったのよ」

「え〜! 日帰り?

アメリカは、酷いわね〜

美智子ちゃん、可愛そうだったわね〜

辛かったわね〜」

「ママは、お腹切らないといけないの」

「日帰り?」

「日帰りじゃないよ」

「良かった」

「手術してもいい?」

「まあ・・・仕方ないわね」

 

手術室に向かう直前に

kazukoさんの写真を撮った

「ママ、笑って!」

kazukoさん、笑ってくれた

 

そして

2時間後

手術、無事成功

悪性の腫瘍ではなかったけれど

卵巣が大きく腫れ

捻れていた

この捻れが、激痛の原因だった

 

これからの術後

想像以上に大変になるだろうけど

ひとまず、安心した

94歳のkazukoさん

その生命力には感服した

 

2月中旬に控えている舞台

蝶々夫人とスズキ」の

直前の手術でなくて良かった

こんな時にも

kazukoさんは

ちゃんと、タイミングを見てくれるんだ

 

神様、ありがとう

今年も

神様に、お礼をすることが

いっぱいあるんだろう

でも

どうぞ、神様

今年も、kazukoさんのこと

見守ってくださいね

 

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手術室に向かう直前に、パチリ

 

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母 Kazukoさん | 11:13 | comments(2) | trackbacks(0)

ビギンと白薔薇の前、入れ歯飛び出した

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kazukoさん、入れ歯ないから、お顔が別人!

 

 

母kazukoさん

夢は絵描きさんになることだった

そのkazukoさんの絵を

展示に出させていただいた美術展を訪れた

 

もううんと昔

10年以上も前に描いた2点の作品

「 ビギンの思い出 」

「 ばらの季節 」

ビギンは、私の家にいた愛犬のビギンちゃん

薔薇は、白薔薇を描いた力作

kazukoさん自身は

もう8年以上、絵筆をとっていないけれど

皆様に見ていただきたくて

応募した

母の施設からお二人が引率して

連れて行ってくださった

 

kazukoさん、上の入れ歯を失くして

新しい入れ歯ができるまでの間

かなり、おばあさんのお顔

映画「万引き家族」の樹木希林さんみたい

でもね

94歳だもの

一般的には、どう考えたって、おばあさんだよ

でも

kazukoさんは、私にとっては、ママ

いつまでも、ママ

 

kazukoさん、自分の絵を見て、喜んで

付き添いの二人が絵を褒め称えると、喜んで

みんなで、くだらない冗談言っても、喜んで

kazukoさんが喜ぶと

私も含めて3人は、もっと喜んで

そしたら

kazukoさん

なんと、下の入れ歯が飛び出しちゃった!

キャ〜〜、いや〜、フフフ、ハハハ、ハハハ!

私達、4人は、絵の前で大笑い

お腹痛くなるまで、笑っちゃった!

 

帰りの車の中

kazukoさんは

トイレに行きたいと駄々をこね始め

パニックになった

でも、六本木ヒルズの裏を通ったら

ちょうど5時になって

イルミネーションが、パアッと点灯!

途端に、kazukoさんの目が輝いた

「うわあ!きれい!

こんなに綺麗なの、生まれて初めて!」

kazukoさん

生まれて初めては、ありえないと思うよ

でも

おトイレ忘れて、感動してくれたんだ

瞬間、私達3人、ホッとして、嬉しくて

また、みんなで、大笑い

 

次の日になって

電話でkazukoさんに

「 昨日のママの絵、素晴らしかったね 」

と言ったら

「 あら、私は見てないわ、行ってませんよ!」

と、宣った

へ?

あ〜ん、忘れちゃったのね、kazukoさん

でも、いいの、いいの

昨日のkazukoさんは、

あんなに喜んでくれたもの

入れ歯飛び出すほど、楽しかったもの

でもって、私達、あんなに嬉しくて

あんなに幸せな気持ちにしてもらえたもの

 

kazukoさん

早く入れ歯を仕上げてもらって

若返って

どこかへ、お出かけしましょ!

 

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母 Kazukoさん | 13:03 | comments(3) | trackbacks(0)

なんだか幸せになっちゃう、水飛沫

 

 

 

母kazukoさんの老人ホームから

品川のアクアパークへの外出に

同行した

 

巨大なエイとか、オットセイとか、ペンギンとか

色んな魚や動物がいて楽しめるけど

なんてったって、目玉は

イルカショー!

 

夏休みに入る直前だったので

就学児はいなくて

小さな幼児だらけの水族館

全ての若いお母さんお父さんたちが

ヨチヨチ歩きの子供達に

すごいね〜、面白いね〜と

イルカを指差し、楽しませようとしている

 

私も、kazukoさんに

「ホラ見て!イルカさん可愛いよ!」

と、声をかけ

kazukoさんも、ホント!と拍手をして応えた

母の横には

108歳のおばあちゃま

 

kazukoさんよりも14歳も年上の方

行きの車の中では

飴がないと、駄々をこね続けてらした

「水族館に着いたら、飴、買いましょうね」

「すぐに、到着しますから、少しの辛抱ですよ」

付き添いのケアやナースの方が

次々になだめたりすかしたり

けれど、ずっと飴をせがんでいらした

でも良かった

108歳のおばあちゃまも

満足気に、イルカショーをご覧になっている


飼育員の人も、イルカ達も

全ての観客を

楽しませようと必死

若い親達は

小さな子供達を喜ばせようと

大げさに身振り手振りで、一緒に笑顔

ふふふ

みんなが、誰かを喜ばせたい

 

イルカが気持ちよさそうに跳ね上がり

スピードに乗って、泳ぐ

飼育員の人が小魚を与え

優しくイルカの頭を撫でる

応えるように

イルカは、水飛沫をあげながら

泳ぎ、跳ね、飛ぶ

イルカ達が、一生懸命

のびのびと演技する

その姿を、ずっと追っていたら

思わず、涙がこみ上げて来た

 

ビックリした

イルカショーで、私、泣く?

そんなわけないでしょ

 

その時、後ろに座っていたナースの方が

私の背中に、ふと呟やかれた

「なんだか、ウルウル来ちゃいますね」

え?

そうなの?

私だけじゃなかったんだ

 

無垢なイルカのパフォーマンスに

心打たれてしまった、私達

 

ショーが終わり

kazukoさんに声かけた

「どう?面白かった?」

「うん、すごくイルカ、可愛かった・・・でも」

と、声を潜めて、尋ねた

「でも・・・

隣のおばあちゃまも、楽しんでくれたかしら?」

kazukoさんは、108歳の方が

楽しんでくれたかどうか、心配していた

「大丈夫! 喜んでいらしたよ!」

kazukoさんは、あ〜、良かった!と

笑顔を見せた

おばあちゃまが、飴をねだってらした時も

心配気に見ていたkazukoさん

おばあちゃまにも

イルカを楽しんでいただけて、良かったね

 

みんなが、みんな、

全てのみんなが

誰かを喜ばせたくて

幸せにしたくて集まる場所

外は酷暑だけど

マイナスイオンが溢れる空気で

心底気持ちのいい空間だったね

イルカ君達の、イルカショー

 

 

 

母 Kazukoさん | 15:23 | comments(2) | trackbacks(0)

お姫様抱っこの、浅草ツアー

 

 

「 お母様は、お元気ですか?」

最近、ブログに登場していなかったから

心配おかけしてしまいました

はい

母、kazukoさんは元気です

 

梅雨の合間を縫って

施設からの、浅草ツアーに同行した

時々レストランなどに

私一人で連れ出していたけれど

おトイレ発作が、頻繁に起きるようになってから

私一人で、kazukoさんを外出させるのは、

難しくなった

おトイレ発作とは

行く必要もないのに

おトイレに行きたいと、何度も何度も往復し

大声で叫んでパニックになってしまうこと

そんな時

施設の方と一緒なら

心強い

 

「 和子様、今日は、人力車に乗りますよ

お姫様抱っこしてもらうんですよ!」

行きの車の中で、ケアの方が教えてくれた

「 ママ、お姫様抱っこしてもらうんだって!」

kazukoさんに、声をかけた

おもむろに、kazukoさん、

私の耳元に口を近づけ、囁いた

「 ねえ、パンティ、新しくして来たかしら?」

へ?

も、もちろん!

紙の下着は、1日に何度も換えているよ

それにしても、新しいパンティなんて

何を言い出すのやら・・・

ふと見ると

kazukoさん、戸惑う私を見て

一人で、クスクス笑っている

あ、どうも、冗談だったらしい

まあ、なんて、色っぽい冗談だこと!

 

浅草に着くと

実際に、若い男性二人が

車椅子から母を抱き上げ

人力車に乗せてくれた

なんと、力強い

なんと、嬉しい

なんと、ありがたい

母と二人で、人力車に乗って

浅草の街を駆け抜けた

車を引いてくれる車夫さんに

母は何度も

「 重いでしょ?大変ねえ、あなた学生さん?」

と、声かける

その度に、頼もしい背中は

「 重くないですよ、大丈夫!」

「 僕、大学生です!」

明るく、元気に答えてくれる

何度も何度も何度も、同じ質問しても

同じように、何度も、答えてくれた

 

たった20分の人力車

なんて、心地いい時間だろう

 

人力車を降りて

浅草寺を周り

近くのホテルでティータイム

ホテルに着くまでは、おトイレ発作は起きず

助かった

 

ホテルの高層ロビーから

スカイツリーをバックに写真を撮った

kazukoさん、横顔でおすましポーズ

昔から

kazukoさんは、このポーズが大好き

ご自慢の、美人さんプロフィール

認知も進んで、変なことも言うけれど

おトイレ発作もあるけれど

それ以外は

変わらない、私の知っているママ

冗談だって言うし

おすましだってするし

きゃっきゃとはしゃいだりもする

私に向かって

「 あなたは、おっちょこちょいだから

忘れ物、しないように!」

と、注意だってする

kazukoさんの中のkazukoさんは

何歳ごろのkazukoさんなんだろう

ふと思ったりする

 

人力車の上で受けた、浅草の風は

忘れたくないな、と思うほど

優しい風だった

 

ありがと

 

 

母 Kazukoさん | 16:33 | comments(3) | trackbacks(0)

先輩だらけの、ウクレレ

 

 

ほら

前のブログで紹介したでしょ?

ひょうきんディレクターズのお一人

三宅恵介さんと

偶然、下北沢で会ったこと

2017/8/7「偶然の出会いの楽屋」

 

でもって

三宅さんが、フジテレビOBの皆さんと

ウクレレのサークルをしていると

ギュウギュウの下北沢のカフェで伺って

「三宅さん、ぜひ、母のいる施設にいらして!」

って、お願いして

この日、それが実現したってわけ

 

いらしてくださった面々

もちろん「オレたちひょうきん族」の

ディレクターだった三宅さんを始めとして

報道の現場に、一緒に取材に向かった先輩とか

アナウンサーの、美しい先輩でいらっしゃるとか

お仕事は一緒にしていないけれど

どこかでお会いしたことのある先輩ばかり

とにかく、先輩、先輩、先輩だらけのメンバー

母kazukoさんも

いつものように、頭を下げて

「美智子が、お世話になりまして」

いつもだったら、社交辞令の言葉も

この日は

本当に、お世話になった方ばかり

 

皆さんのウクレレや、フラダンス

優しい言葉や、美しいピアノで

お年寄りの皆さんは、ウットリ

kazukoさんも、気持ち良さそう

 

あの日、下北沢で偶然再会したからの

この日があるんだね

久しぶりにお会いした先輩達も

それなりに歳は重ねていらっしゃるけれど

元テレビ局員という、溌剌さは変わらない

 

先輩に囲まれて、嬉しい私

先輩がいるってこと

こんなに幸せなんだって

知った私

 

母 Kazukoさん | 20:25 | comments(1) | trackbacks(0)

93歳の ペースメーカー

 

母kazukoさん、今月の27日で

93歳になる

93歳の目前となる、先週

緊急入院となった

 

脈拍が、極端に少なくなっていて

ペースペーカーを埋め込まなくては

いつ心臓が止まってもおかしくないとのこと

「 お母様は、お元気だから

生きる気力も、体力もあるから

ペースメーカーを埋め込むこと

私は、強くお勧めしますよ 」

担当の先生は、そうおっしゃた

 

でも、kazukoさん、もう93歳だよ

そんな高齢なのに

心臓に、機械を入れるなんて・・・!

「 あのね、ママ・・・

ここに機械を入れる手術、受ける?」

私は、ペースメーカーを見せながら、聞いた

 

もし、kazukoさんが入れるのを拒んだら

手術を断るべきではないか

ふと、そう思った

もちろん、それは「死」を意味する

でも

いつも、足の痛みで苦しそうに泣き叫んだり

トイレに間断なく往復して辛そうにしているのが

可哀想で可哀想で

どうにも出来ない自分がふがいなくて・・・

だから

いつのまにか、私の中に「覚悟」という塊が

少しずつ、少しずつ

固まって来ていたのかもしれない

 

「 え〜〜、こんな大きなもの?!」

ペースメーカーを手に取り

kazukoさんは、大げさに驚いた

先生によると、昔に比べると

随分、小型化されているらしいが

確かに、大きく感じる

 

「 手術は・・・嫌!」 

・・・そっか・・・

・・・嫌なのか・・・

「 怖いから、手術は、ノーノー!」

うんうん、そうだね、怖いよね

「 でもね、ママ・・・手術しないとね

突然、心臓止まっちゃうかもしれないんだ」

「 ふ〜ん・・・」

kazukoさん、しばらく考えて、口を開いた

「 そうね〜、私が死んだら

美智子ちゃん、一人になるからね」

え?

いやいや、私には、ちゃんと夫がいるよ

「 100歳まで生きるって約束したから

もっと生きたいから、手術、するわ」

 

そっか・・・そっか

わかったよ

一瞬でも、手術を受けないなんて考えたこと

そんな愚かな自分を、ひどく恥じた

 

2時間の手術は、あっという間で

無事終了した

その後の入院生活は

トイレの往復や、足の痛みは変わらず

気を紛らわせるために

オセロをしてもらったりして

病棟の看護師さんに迷惑かけたり

私も毎日付き添って疲れ果てたけど

術後の経過そのものは

あっけないほど順調

そして

1週間目の今日

退院することが出来た

 

相変わらず

kazukoさんは

足の痛みに叫びながら

管を入れているから

トイレに行く必要もないのに

そんなこと忘れて

何度もトイレに往復している

 

私は

生き様を

母kazukoさんから、教えてもらっている

 

 

病院内の絵画を、感動しながら見て回るkazukoさん

母 Kazukoさん | 16:48 | comments(1) | trackbacks(0)

たった5歳下の、草間彌生さん

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母kazukoさんと共に

草間彌生展を訪れた

 

kazukoさん、昨年の後半は

二回も入院して調子が悪く

今年に入ってからは、私も忙しかったから

本当に、久しぶりの外出になった

 

色、色、色の渦の中で

kazukoさんは、圧倒されたように

素晴らしいねえ、と言った

草間さんの

ほとばしり出る前衛的な作品を

素晴らしいと言う92歳のkazukoさん

なんだか、誇らしく感じた

 

「 こう言う絵も、描いてみたかったナ 」

 

画家を目指していた若い日のkazukoさん

戦争真っ只中で、美大に行くことが許されなかった

草間彌生さんは

kazukoさんより、5歳下

 

「 あら、たった5歳下なの?

同世代の、おばあちゃんなのね 」

 

たった5年の差で、

草間さんは、美術の学校に進み

類い稀な才能を、何年にも渡り開花させ

御高齢でいらっしゃる今も、最尖端だ

もちろん、草間さんの才能に

kazukoさんのものを比べることなど出来ないが

若いkazukoさんの夢、チャンスを葬った、

戦争という魔物は、恨めし過ぎる

 

色んな色のシールを貼る部屋で

kazukoさんは、

真剣に悩みながら、貼る場所を考えている

その横顔は

認知症の翳りもなく、知的な表情だった

 

実は

昨年の義母に続いて

10日前に、98歳の義父が亡くなった

私には、お父さん、お母さんと呼ぶ人がなくなり

たった一人の「ママ」だけになった

 

「 色の海の中にいるみたいね〜 」

 

ママ、頼むよ

ゆっくり、生きてよ

車椅子を押しながら

何度も、呟いたんだ

 

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母 Kazukoさん | 14:17 | comments(3) | trackbacks(0)