母kazukoさん、今月の27日で
93歳になる
93歳の目前となる、先週
緊急入院となった
脈拍が、極端に少なくなっていて
ペースペーカーを埋め込まなくては
いつ心臓が止まってもおかしくないとのこと
「 お母様は、お元気だから
生きる気力も、体力もあるから
ペースメーカーを埋め込むこと
私は、強くお勧めしますよ 」
担当の先生は、そうおっしゃた
でも、kazukoさん、もう93歳だよ
そんな高齢なのに
心臓に、機械を入れるなんて・・・!
「 あのね、ママ・・・
ここに機械を入れる手術、受ける?」
私は、ペースメーカーを見せながら、聞いた
もし、kazukoさんが入れるのを拒んだら
手術を断るべきではないか
ふと、そう思った
もちろん、それは「死」を意味する
でも
いつも、足の痛みで苦しそうに泣き叫んだり
トイレに間断なく往復して辛そうにしているのが
可哀想で可哀想で
どうにも出来ない自分がふがいなくて・・・
だから
いつのまにか、私の中に「覚悟」という塊が
少しずつ、少しずつ
固まって来ていたのかもしれない
「 え〜〜、こんな大きなもの?!」
ペースメーカーを手に取り
kazukoさんは、大げさに驚いた
先生によると、昔に比べると
随分、小型化されているらしいが
確かに、大きく感じる
「 手術は・・・嫌!」
・・・そっか・・・
・・・嫌なのか・・・
「 怖いから、手術は、ノーノー!」
うんうん、そうだね、怖いよね
「 でもね、ママ・・・手術しないとね
突然、心臓止まっちゃうかもしれないんだ」
「 ふ〜ん・・・」
kazukoさん、しばらく考えて、口を開いた
「 そうね〜、私が死んだら
美智子ちゃん、一人になるからね」
え?
いやいや、私には、ちゃんと夫がいるよ
「 100歳まで生きるって約束したから
もっと生きたいから、手術、するわ」
そっか・・・そっか
わかったよ
一瞬でも、手術を受けないなんて考えたこと
そんな愚かな自分を、ひどく恥じた
2時間の手術は、あっという間で
無事終了した
その後の入院生活は
トイレの往復や、足の痛みは変わらず
気を紛らわせるために
オセロをしてもらったりして
病棟の看護師さんに迷惑かけたり
私も毎日付き添って疲れ果てたけど
術後の経過そのものは
あっけないほど順調
そして
1週間目の今日
退院することが出来た
相変わらず
kazukoさんは
足の痛みに叫びながら
管を入れているから
トイレに行く必要もないのに
そんなこと忘れて
何度もトイレに往復している
私は
生き様を
母kazukoさんから、教えてもらっている
病院内の絵画を、感動しながら見て回るkazukoさん