1週間が経ちました
ようやくジェシカの最後のことを
ちゃんと説明する気持ちになりました
9月20日水曜日に、ジェシカが病院に行く為、
このアパートを出て、1週間経ちました
今月15日の14歳半の誕生日以来、
脳震盪のように倒れることが多くなっていたジェシカ
明らかに、薬の量を調整する必要があり、
その検査の為、来院が必要となったのです
毎日、4,5回倒れていたジェシカ、
その度に、私の腕の中に飛び込んできました
それまで、ジェシカは抱かれることが、あまり好きではなかったので
その頼りにしてくれる重さが、いとおしく
私は、ジェシカの体をさすり続けていました
でも、心臓から来る脳震盪が治まれば
ボール遊びをねだり、瞬発力抜群 食欲旺盛!
ジェシカの大好きなスイカを、
向かい合って座りながら食べるのが日課になっていました
病院に向かう朝も元気で
準備していると、ボールをくわえて追いかけてきました
「仕方ないね・・・ちょっとだけだよ! 」
たった三回ですが、ボールを高くあげ
ジェシカがトスし、私が受取りました
「 あと、ひとーつ! 」
いつものように、ラストコールをすると
ジェシカは、満足そうに笑顔でした
病院に行く車の中で
すでにジェシカは、病院が怖くて、ガタガタと震えだしました
マンハッタンの中心部は、ひどい渋滞だったので
ウエストハイウェイを走りました
秋晴れの抜けるような空 ・・・
ハドソン河からの新鮮な空気 ・・
ジェシカは、震えながら、咳もしているのに
窓から、思いっきり体を出しました
体が倒れないよう、
私は、病院までの30分近くを、腕と体で支え続けました
本当に重いジェシカでしたが、気持ちよさそうな顔を見ると
重さが、嬉しかった
病院に着いた途端、ジェシカの発作がおきました
急いで、酸素室に入れ、処置が施されます
入院するよう言われましたが、ジェシカは病院が嫌い
私は拒否しました
なんとしてでも、連れて帰ります・・・何時間でも待つ!
1時間後、ジェシカが回復し
ドクターから、家に帰ってもいいと許可がおりました
でも、待合室に、連れてこられた瞬間
再度発作が起き、一晩の入院となったのです
その発作の苦しい姿を見た私は、
もう入院を拒否することはできませんでした
それに、トライベッカの病院は
大病院のAMCと違って、重病の犬は入院できません
一晩ケアをしてもらい、薬の調整をしてもらえば明日は帰ってこられる
何の疑いもなく、私は、家路に着きました
だから、この日のことを、ブログに書くこともやめました
奇跡の犬・・・ミラクルドッグだから、今度も、帰ってくる
皆に、もうこれ以上、心配かけてはいけない
本当はキャンセルしようと思っていた、
ミュージカル「コーラスライン」を
この夜、ジェシカが入院したおかげで、観劇することができました
夜中、トライベッカホスピタルに電話して様子を聞くと
夜勤の男性ナースが答えてくれました
「とっても落ち着いていい子だよ! 夕食も、沢山食べたしね!
だいじょうぶ!」
病院でも、食欲旺盛にガッツイタなんて・・・
ホント恥ずかしいけど、嬉しいね・・・
21日木曜日の朝、今日は、ジェシカを迎えに行きます
でもその前に、夕べ観た「コーラスライン」のことを
ブログにアップさせよう・・・
私は、パソコンに向かっていました
電話が鳴りました・・・・
「ハロー・・こちらは、トライベッカホスピタル・・・」
「 あ、お世話になります!
もう、ジェシカを迎えに行っていいですか? 」
「 ジェシカが・・・・亡くなりました 」
「 ノーーーー! 」
頭の中が真っ白で、リビングの中で行ったりきたりを繰り返しました
夫に電話してもつながらない
冷静に・・・
そうだ、今日の、脚本ミーティングは、キャンセルしなきゃ・・・
どの服を着ていいのか、何を持っていいのか・・・
一人パニックになりました
病院に着いたのは、それから、1時間近くたってしまっていました
夜勤のナースだけではなく
朝、ドクター達も出勤して、大勢の中で逝ったとのこと
大病院のAMCではなく
アトホームな病院の、アメリカ人のきれいな美人ドクターや
お姉さんナースに囲まれて、静かな最後だったとのことでした
対面したジェシカは、きれいなままでしたが
顔を持ち上げると、口の反対側からは、
真っ青になった舌が、外に、ダラリと長くはみ出ていました
・・・苦しかったんだねえ・・どんなにか、辛かっただろう・・・
きっと、私の姿を、うろうろと探し続けていたに違いありません
なぜ、あの時、ジェシカを入院させずに、連れて帰らなかったのか
自分の腕の中で、なぜ、逝かせてやれなかったのか
1週間たった今でも、返す返す、悔しく、後悔しています
本当に、ごめんね、・・・・・ごめん
「犬だし、高齢だし、十分だったんです。ありがとうございます」
私は、みんなからの、励ましの言葉に、こう答えます
ただ本音を言うと、戯言として受け止めていただくしかないのですが
ジェシカは、犬ではありません・・・
ジェシカは、高齢でもありません
私の中では、ジェシカは、14歳半で亡くなった子供です
中学3年生の子供でした
これからは、1992年生まれの中学3年生を見ると
ジェシカを思い出すのでしょう
多分、こんなオカシな発言は通らない・・・
これは、私の、独り言です
世の中には、もっと苦しく辛い別れをしている人たちが大勢います
私の哀しみは、それに比べたら、ちっぽけなものなのに、
この哀しみを、温かく受け止め
共感して下さった方々が沢山いてくださった
ブログでも、直接のメールや電話でも、私は励まされ続けています
同じアパートの住人や、ドアマン一人一人が
涙ながらになぐさめてくれました
道でいつも会う、何度訂正しても、ジェシカをラッシーと呼ぶ、
駐車場の黒人のおじさんは、おいおいと声をあげ
「ラッシーラッシー、かわいそうに!」と泣いた
ジェシカに関わった人達がジェシカを思ってくれる気持ちを大切に
私は、何としても、次に向かわなくてはいけません
これからも時々、ジェシカの思い出話をさせてください
ジェシカのことは、まだまだ、おかしな話は
いっぱいあるのだから・・・
私は、ジェシカからもらった時間を大切に、前へ向かって歩きます
まだまだ、辛いけれど、とりあえず、足は出さなくてはいけない
ジェシカのことを、少しでも思ってくださったすべての方に、
心の底から、お礼申し上げます
ありがとうございました