真夜中の3時に、携帯に電話があった
もちろん休んでいたから、留守電になる
友人の女優 「 円城寺あや 」からの電話
まだ、日本へ帰ったことを、誰にも伝えていなかったから
私がアメリカにいると思い、NY時間で、電話してくれたんだね
急に「 NYに行くよ! 」とでもいう電話なのかな
この5年近く、そうやって、急に電話やメールをくれて、
NYにやって来た友人達が、結構、沢山いる
「 ごめん! 私、実は、NYから日本へ戻って来ているの・・・
だから、NYに来てもらっても、私は、もういないんだ 」
今朝、折り返し、円城寺に電話をした
「 そっか・・・みっちゃん、戻ってたんだ
実は、NYに行くとか、そういう話じゃないんだ
・・・実は、フカウラが ・・・
・・・ 死んだ ・・・・ 」
え?
フカウラって ・・・ 深浦だよね
・・・深浦加奈子のことだよね ・・・
「・・・うっそー! ・・・」
その後、夕べの病院での様子、その後、亡くなったことなど
くわしく丁寧に、円城寺が話してくれる
でも、私は、ウソ、ウソ、ウソとしか、答えられなかった
フカウラとは、15年位前だったか、ドラマで共演して知り合った
後にも先にも、仕事で一緒になったのは、その時だけだ
でも、すぐに気が合って、色んなこと ・・・
誰にも話せないようなお腹の奥まで、話す間になった
お酒飲んじゃうと、話が沢山出来ないと言って
飲めるのに、お酒は飲まない「飲み友達」だね、と笑った
仕事場のこと、映画、舞台のこと、人間関係、読んだ本
社会のこと、政治経済のこと、それから、くだらないことも
2002年、二人芝居「 私とわたしとあなたと私 」を書き
舞台にしようと思うんだ、と告げた時
「 みっちゃん、それは、あまりにも怖いもの知らずだよ
脚本を書くことは出来ても、舞台にあげるのは、空恐ろしい
悪いこと言わない、苦労する。やめた方がいい 」
と、彼女は、本気になって、止めた
小劇場出身の彼女は、舞台作りの、真の苦労を知っているから
本当に、私のことを案じて、そう答えてくれた
でも、もう走り出したものは止められず、上演に漕ぎ着けた
そして案の定、私は知ることのなかった、しんどい苦労をした
でも、結果は大成功し、次の年の03年、再演の運びになった
そして、NYに移り住んで4年目、07年の11月には
英語版「 I and Me & You and I 」と生まれ変わり
NYのオフ・ブロードウェイにまで進出することになったのだ
最初、猛反対したフカウラは、いつも、ずっと
まるで自分の舞台のように、心配し、応援してくれた
このブログにも、フカウラは、登場している
(
06.5.20のブログ 「 女優 フカウラ 」 )
あの時も、私は風邪が長引き、咳が止まらなかった
フカウラは、だったら、私が会いに行くから、元気出せ!と、
お見舞いに来てくれて、パワーをくれた
しかし、彼女自身、ガンを克服していたことも、教えてくれた
オフ・ブロードウェイの舞台進出が決まったと知らせた時
フカウラは、一番にメールをくれて、すごいすごい!と興奮し
がんばれ、絶対成功!と、エールを延々と書いてくれた
でも、「 からだには、気をつけて 」とも気遣い
そして、最後に、軽く、自分のことに触れた
「 再々発したけれど放射線で封じ込め、今は、バリバリ元気! 」
再々発という言葉が、一瞬気になったけれど、
「 バリバリ元気! 」という勢いある文字で、安心していた
ニューヨークから戻ることが決まった時、
フカウラと会って、いっぱい色々話せるな・・・と思った
でも、日本に帰ってから、驚かせてやろうとも思い、
敢えて、連絡しなかった
でも、今月帰国したものの、私自身が体調を壊し、
電話すると、いつも、その日か、次の日会うことが恒例だから
からだが良くなってから、電話しようと思っていた
「 楽しみ 」は、先に、延ばしていたんだ
声が出なくても、何でもいいから、電話すれば良かった
そしたら、最後に、会えたかもしれないのに
フカウラ、本当に、私は、あなたに聞いてもらいたいこと
誰にも話せないこと、山のように抱えていたんだよ
フカウラも、NYの話、舞台の話、楽しみにしていただろ?
ごめんね、連絡しなくて ・・・ ごめんね
どんなにか、最後、辛かっただろう
苦しかっただろうね
良く、がんばったね
こうやって、私は、フカウラのことを書きながらも、
まだ、信じていないよ
私でさえ、こんなに、実感なくて、でも、辛いのだから
仲の良かったご家族は、
どんなにか、胸が張り裂けそうな思いだろう
フカウラ ・・・
私は、まだ、ご冥福を祈るとも言えないんだ
ごめんなさい
・・・でも ・・・
ありがとう
一緒に色々話したこと、ゲタゲタ、大笑いしたこと、
お互い何だか、泣いちゃったこと
私の失敗話を、しつこく、突っ込んでくれたこと
舞台のこと、本気になって、何度も反対してくれたこと
なんだかさ ・・・いっぱい、ありがとうだ
今は、それだけ ・・・ 言えること