ドキュメンタリー映画「
ブロードウェイ ブロードウェイ」を観た
原題は、「 EVERY LITTLE STEP 」
ブロードウェイミュージカル「コーラスライン」
そのキャストを選ぶオーディションの、しのぎを削る過程を、追う
NYで1975年に始まったミュージカル「コーラスライン」
1990年に幕を閉じたが、16年後のの2006年に再演され、
そして、今年の夏まで、ファンを沸かせた
その2006年の再演に向けての、オーディション風景だ
作りとしては、ドキュメンタリーゆえ、
ブロードウェイの舞台や、映画作品に比べ、地味かもしれない
また、「コーラスライン」を熟知していない観客がいるとしたら
キャストのキャラクターが説明されていず、少し理解しにくい
何と、日本が世界初公開で、アメリカではこれから公開だと言う
しかし、わかりやすさが大好きなアメリカ人にとって、
特に「コーラスライン」に触れたことのないNY以外の人にとっては
この作品が、果たしてヒットするかどうかは、難しいかもしれない
・・・ でも ・・・
私個人にとっては、感動で、嗚咽だった
そういう観客が、あちらこちらにいるのだろうか
冒頭から、すすり泣き、忍び泣きの声が聞こえて来た
85年の映画版を何度も観て、コーラスラインに憧れ続けた私は、
06年のミュージカル再演を心待ちにし、
プレヴューが始まると、獲得しにくいチケットをとって劇場に走った
(
06.9.21のブログ 「コーラスラインはかわらない」より )
そして、この夏も、NYを離れる前に、もう一度劇場に足を運んだ
実は、2年前の「コーラスライン」観劇の翌朝、
愛犬が天に召されたという、極めて私的な思いもあり
2度目に観た「コーラスライン」は、何もかも、全てが胸に迫った
その上での、今回のドキュメンタリー映画だ
あの舞台で、生き生きと演じていた、顔なじみの役者達が、
オーディションでは、沢山の応募者の中、ワナワナと、震えていた
更に、個人的には、もうひとつ
ドキュメンタリーの、ほとんどのロケ場所となるのが、
オーディションが行われる「 Ripley Grier Studio 」
リハーサルが行われる部屋が、A,B,C..と、並んでいるスタジオだ
実は、昨年、オフ・ブロードウェイで上演した、
「
I and Me & You and I 」は、このスタジオと長く関わっている
06年3月のオーディション、そして4月のリーディング(朗読)
いよいよ07年11月の本番へ向けて、再びオーディション、
そして9月からのリハーサルでは、毎日通い続けた場所なのだ
(
06.3.16のブログ 「THAT'S the AUDITION !!」 )
(
06.4.16のブログ 「リーデイングフォトギャラリー」)
(
07.11.3のブログ 「ブロードウェイの稽古場 最終日」 )
映画の端っこに見えるグリーンのカーテンの大きさや形状を見て、
あ、この部屋は、Dの部屋、これは、Hの部屋だと思い出される
そうだね ・・・ ちょうど、1年前 ・・・
正に、1年前に、このスタジオに毎日通い、稽古していたんだ
あのユラユラ揺れる、重いグリーンのカーテンは、
ブロードウェイ全ての役者の「アセ」やら「ナミダ」の色に見える
ブロードウェイのオーディションで、カメラを回すなんてことは
厳しく禁止され、なかなか許されることはない
その中を、何とか、ひとつのドキュメンタリー映画に作り上げたこと
奇をてらうことなく、撮影し続けたこと
地道な作りであるからこそ、この映画は、感極まる
出来るなら、ニューヨークのブロードウェイへ飛んで
もう終演したミュージカル「コーラスライン」を、観たくなった
それぐらい、この映画は、私にとって、秀逸の作品だった