2009.01.30 Friday
しとやかな獣 に 中毒
紀伊国屋ホールで、「しとやかな獣」の初日を観劇する
作 新藤兼人 演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
何と脚本は、47年前の映画のものを、そのまま使っているそうだ
高度成長期直前の時代に、詐欺をする家族の話なのだが
ストーリーの前に、何もかもが、懐かしく、そして
最早、懐かしくなってしまったことに、驚いた
ブラウン管テレビや、テーブルクロスで飾られた応接セット
団地の風景にプラスして、死語になってしまった言葉達
後家さんとか、二号サン、セコハン
だいたい、よく考えたら、「しとやか」とも、言わなくなった
途中、狂ったように踊るゴーゴー(だったかしら?)は
この時代に生きた日本人の激しさも、伝えている
戦争で痛めつけられた経験を持つ大人達の鬱屈感と、眩しい希望
その意味でも、現代で、この作品を演じるのは興味深い
懐かしい風情ではあるけれど、新しくも感じる
それは、演出と、役者陣の持つ「空気」なのかな
わかりやすく商業演劇のように味付けることも出来るし
実際、それも、あっていいのだと思うけれど、
この舞台は、どっか、スッキリしないし、スッキリさせない
胸の中が「ワサワサ」動き、見終わっても「ワサワサ」は消えない
その「ワサワサ」に魅了され、中毒になりそうなのだ
それにしても、今年97歳で現役でいらっしゃる新藤兼人監督の
50歳頃の筆力や色っぽさには感服するし、
その若さが、現在にも通じていらっしゃるのだろう
同時に、川島雄三監督 若尾文子主演の映画版「しとやかな獣」も
猛烈に、見たくなった
う〜ん
今回の舞台は、「シトヤカ獣」中毒患者を増やしそうだね
「しとやかな獣」新宿紀伊国屋ホールにて 2月8日まで