しとやかな獣 に 中毒
shitoyaka

紀伊国屋ホールで、「しとやかな獣」の初日を観劇する
作 新藤兼人 演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ 
何と脚本は、47年前の映画のものを、そのまま使っているそうだ
高度成長期直前の時代に、詐欺をする家族の話なのだが
ストーリーの前に、何もかもが、懐かしく、そして
最早、懐かしくなってしまったことに、驚いた
ブラウン管テレビや、テーブルクロスで飾られた応接セット
団地の風景にプラスして、死語になってしまった言葉達
後家さんとか、二号サン、セコハン
だいたい、よく考えたら、「しとやか」とも、言わなくなった
途中、狂ったように踊るゴーゴー(だったかしら?)は
この時代に生きた日本人の激しさも、伝えている
戦争で痛めつけられた経験を持つ大人達の鬱屈感と、眩しい希望
その意味でも、現代で、この作品を演じるのは興味深い

懐かしい風情ではあるけれど、新しくも感じる
それは、演出と、役者陣の持つ「空気」なのかな
わかりやすく商業演劇のように味付けることも出来るし
実際、それも、あっていいのだと思うけれど、
この舞台は、どっか、スッキリしないし、スッキリさせない
胸の中が「ワサワサ」動き、見終わっても「ワサワサ」は消えない
その「ワサワサ」に魅了され、中毒になりそうなのだ

それにしても、今年97歳で現役でいらっしゃる新藤兼人監督の
50歳頃の筆力や色っぽさには感服するし、
その若さが、現在にも通じていらっしゃるのだろう
同時に、川島雄三監督 若尾文子主演の映画版「しとやかな獣」も
猛烈に、見たくなった
う〜ん 
今回の舞台は、「シトヤカ獣」中毒患者を増やしそうだね

しとやかな獣」新宿紀伊国屋ホールにて 2月8日まで

in the audience 客席にて | 11:08 | comments(0) | trackbacks(0)

日本人が見る 日本でのセザンヌ
cezanne

2ヶ月以上も開催していたのに、最終日前日になって
横浜美術館「セザンヌ主義」に、滑り込むように訪れた

セザンヌの作品は、ニューヨークのMOMAでも、メト美術館でも、
世界中の主な美術館には、どこでも展示されているお馴染みさん
昨年訪れた、フィラデルフィアのバーンズコレクションでも、
壁一面、セザンヌの絵が、無造作に飾られた部屋もあったりした
08.4.29のブログアートとフィリーサンドイッチ」より

でも、横浜美術館は、
セザンヌの作品に影響された日本画家の作品も、同時に展示され
それこそ、海外の美術館では見ることの出来ないコンセプト
岸田劉生も、安井曾太郎も、佐伯祐三も、
名だたる画家は、セザンヌを追いかけたのだ
日本の近代美術の画家達が、どうやって、アプローチし
どう、自分の絵としていったのか、つぶさにわかる
はるばる、横浜まで、来て良かった

それにしても、作品に近づけない程、ワンサカ人が訪れているのに
展示会場は、シーンと静まり、真剣に絵画に目を凝らす人ばかり
入場者の年代も、正に、老若男女なのに、
この秩序正しさは、日本独自のものと感心した
日本での美術鑑賞、かなり、身近になっているのかな
セザンヌさんも、こんなにちゃんと見てもらって、
日本での作品展、天国で、嬉しがっているかもしれないね

ART & Exhibition | 12:31 | comments(0) | trackbacks(0)

写真美術館 そして 新進写真家
toshio shibata

恵比寿ガーデンプレイスの中にある東京都写真美術館を訪れた
カメラマンの柴田敏雄さんという方の、作品展だ
「ランドスケープ」というタイトルで撮影された写真達
ダムや道路、工事現場など、無機質な風景が、
デザイン豊かな作品として、迫ってくる
柴田さんは、写真館などで使っているような大きなカメラを使い
ひとつのシーンで、一回しかシャッターを押さない
大きなカメラで捉えたからこそ、大きく引き延ばされた写真は
油絵や墨絵かと錯覚するほど、作り上げられた「アート」
素晴らしくて、驚嘆した

実は、この写真展に誘ってくれたのが、
女性フォトグラファーの、藤岡亜弥さん
広島出身のため、通称「シマ」ちゃんと呼ばれている
シマちゃんと、知り合ったのは、半年前の、暑い熱いニューヨークICP(Internatinal Center of Photography)の、夏期講座だった
7月から8月にかけての「ニューヨークを撮影しよう」の5日間
( 2008.7〜8のブログICP 写真の学校 」より )
シマちゃんは、先生のアシスタントとしてクラスにいたけれど、
結局、いい加減な先生よりも、私のそばにいることの方が多くなった
ニュヨークの周囲を、毎日、毎日、猛暑の強行軍
炎天下を歩き回って、シャッターを押し続けた二人
肉体的には大変だったけれど、二人でぼやいたり笑ったりして
私にとっては、思い出深い、最後のニューヨークになった

そして、その日から、ちょうど半年後の真冬
冷たい雨の、恵比寿ガーデンプレイスで再会した
「ホント、あの時は、死ぬ程、暑かったねえ! 今日は、さむ〜い!」
抱き合いながら、ハハハと、二人で、懐かしんだ

シマちゃんは、ビジュアルアーツアワードで大賞を獲ったことで
さよならを教えて」という写真集が出版された新進の写真家だ
本の中には、ヨーロッパを一人放浪した時の、作品群が並ぶ
濡れた感じと、枯れた感じが同居する写真は、切なく、胸を打つ

今週、またニューヨークへ戻り、
アートフォトグラファーのプロとして、
世界の頂点の街で、険しい道を進んで行くという
・・・ シマちゃん ・・・
いつか、シマちゃんの作品展を、この写真美術館で見たいな
がんばれ!
 
shima

ART & Exhibition | 11:27 | comments(0) | trackbacks(0)

ブロードウェイミュージカルの、亡霊
drowsy

日生劇場にて、ミュージカル「ドロウジーシャペロン」を観た

去年の10月頃だっただろうか
近所のスーパーマーケットで、偶然、藤原紀香さんに会った
「 今、ダンスのレッスン終わって、帰るとこなんです!
今から、家帰って、お夕食の支度、しなくちゃ! 」
手には、お料理本を抱え、イソイソとお買い物をする姿は、
新妻の初々しさと、でも、ミュージカルに懸ける思いが伝わって
凄さと、かわいらしさと、かっこ良さが同居していた

このミュージカルの劇中劇で、華やかな女優を紀香さんは演じる
初の大役を、歌も踊りも芝居も、がんばっていて、
本当に素晴らしかった
藤原紀香さんの、当たり役
もちろん、他の役者さんも、実力派揃いで、
それぞれの個性を、ブロードウェイの縛りの中で、
演出の宮本亜門さんは、充分に生かしたと思う

しかしながら
実は、私は、このミュージカルを、ブロードウェイで観ている。
( 06.7.23のブログDrowsy Chaperone」より )
だから・・・なのかもしれない
華々しくて、ひねりの利いたおもしろい作品なのだが、
そのひねりが、今ひとつ、ストンのお腹の底に落ちない
ブロードウェイのこの作品は、
本場のミュージカルを、見飽きる程観た観客に向けての
言わば、オマージュだと思う
根本的に、その部分で、日本の観客のほとんどには無理だ
また、狂言回しとして登場するオジさん役が、
実際に作品の脚本を書いたという所が、全ての核になっている

・・・ なぁーんてね ・・・

どうも、私は、あのNY、タイムズスクエア近くの劇場の亡霊から
抜け出さないでいるだけなのかもしれない

ミュージカル好きのあなたは、きっと楽しめる作品です
日生劇場で29日まで上演 くわしくはHP

in the audience 客席にて | 17:35 | comments(1) | trackbacks(1)

石の一つも、思い出だらけ 伊勢神宮
ise

ise

ise

お伊勢さんに お詣りした
そう ・・・ 三重県伊勢市 
私が、生まれ育った場所だ
お墓参りとともに、十年以上ぶり、伊勢神宮

小学校の帰り道、外宮の宮は、かくれんぼの場所
冬、薄く凍った勾玉池の氷面を歩き、ピシッと割れかけた音は
今でも、ドキッと、忘れられない
伊勢市内の路地の全てに、幼いぼうっとした私が、染み渡っている
内宮の、何百年もの、太い御神木は、形が未だ変わりなく
人ごみを恐れない、美しい神鶏も、優雅に歩く
空の色も、玉じゃりを踏みしめる音も、あの幼い日の記憶のままだ

久しぶりに、伊勢うどんを食べたら、涙、出て来た
説明出来ない感情が、ボロボロと沸き上がる
胸が、苦しい

足を伸ばして賢島に行き、英虞湾の絶景に、深く感銘した

幼い日、のんびりし過ぎた田舎の門前町が、物足りなく思ったけれど
こんなにも人生経験すると、この町の、内面の豊かさに感銘を受ける
神聖な地に生まれ育ったこと、あらためて、神様に、感謝するよ

ise

ise

ise

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ise

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三重県 | 11:47 | comments(3) | trackbacks(2)

枯れない舞台 走り回る少年
nodamap

シアターコクーンにて、野田秀樹さんの新作「パイパー」を観た
千年後の、火星に移住した人間達のストーリー
主演は、松たか子さんと、宮沢りえさんで、姉妹の役
橋爪功さんなど、全ての出演者に、力も技も心もある
宮沢りえさんは、いつもの、優しいイメージとは打って変わり、
強い姉を演じ、一瞬、誰かわからなかったくらい

初めて野田さんの芝居を観たのは、遠い昔、大学生の頃
芝居サークルの仲間と、東大の五月祭の教室で観た
その頃、野田さんも、まだ学生で、その芝居の新しさに
ショックを受けたことを覚えている
07.11.26のブログエッセイ わが街 わが友 国立」より

いや〜、素晴らしかったよ
あの東大の教室から、30年以上は経っているのに、
野田さんは、演劇少年の、クルクル回転する脳ミソのままだ
でも、熟練した経験が、舞台をたっぷりと、厚く深く仕上げている
アンサンブルの使い方も、感嘆する
最早、アンサンブルではなく、一人一人の役者の集合体

野田さんは、枯れず、飄々と、舞台を走り回る
この舞台は、ニューヨークでも、充分に通用するだろうね
うん? 
でも、壮大な世界観とか、複雑な時系列とか
シンプル好きなアメリカ人に、わかってもらえるかなあ・・・

公演は、2月の終わりまで、渋谷シアターコクーンにて
くわしくは、HP

in the audience 客席にて | 09:19 | comments(3) | trackbacks(0)

丑 年
cow

12年前の、「丑年」
「牛」のコスプレをして、年賀状を飾ったビギンとジェシカです

はてさて・・・放牧された、牛さんに、見えるかしらん?
・・・ モオウゥゥ ・・・ ??? ・・・

時々 愛犬の思い出 | 10:34 | comments(3) | trackbacks(0)

2009年 元旦 末吉
2009

2009

あけましておめでとうございます!

大晦日は、浅草寺に、お詣りし
年が明ける年越しは、近所のお寺で除夜の鐘をつき
氏神様の神社に、初詣

浅草の商店街には、「初売り」と「店頭就寝厳禁」の看板
新しい年を、寒空の下で迎えた人も多い2009年なのか

おみくじを引いたら、「末吉」
・・・ 「末吉」とは、後に、「吉」となる運勢 ・・・
「大吉」より嬉しくて・・ウワァッ!・・ 飛び上がった

どうぞ、この御時勢も、「末吉」となりますように・・・

皆様、今年も、どうぞよろしくお願いいたします!

2009

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2009

新・東京物語 | 12:09 | comments(2) | trackbacks(0)