2014.06.29 Sunday
クイアバの 涙
本当に長い空路だった
家を出てから、アブダビでの乗り換えも入れて、
サンパウロのホテルに着くまで
40時間くらいかかったと思う
その上、翌日、3時間の飛行時間を経て、クイアバの町へ
狭い座席は、本当に、苦しかった
でも応援したかったから、そんなこと、へでもない
ご褒美は、あった
私達が到着した直後に、日本代表もクイアバの空港に到着
代表のバスに向かって、「がんばれ〜」と叫んだ
相手は、真っ黒な窓ガラスだから、
こちらの様子を見ているのか、いないのか
また宿泊しているホテルも近く、
ホテルの前で、「だいじょうぶ、だいじょうぶ、勝つ!」
と、手を合わせて、念じた
もちろん、選手の姿など、どこにも見えないけれど
いよいよ決戦の日
炎天下の中、バスを降り、スタジアムまで向かう
道で会うコロンビア人は、陽気
うるさいほど、しつこく、記念写真をせがむ
決勝トーナメント進出が決まっているから陽気なのか
本来の性格がそうなのか
次々につかまり、なかなか、前に進まない
ようやく着いたスタジアム
セキュリティで
なぜだか、持っているボールペン全てと
日焼け止めと、ムヒを取り上げられた
ボールペンで、誰かを刺し殺すとでも言うの?
それにしても、ブラジルに来て
一度も、怖い思いをしなかった
みんな、親切で、明るくて
転んで傷を作り、薬屋を探していると
わざわざ、歩いて案内してくれたり
スーパーで、ウロウロしていると
何を探しているの?と、一緒に探してくれたり
嫌な思いなんて、なかった
嫌だったのは、ボールペンを没収されたこと位かな
それは、私が運が良かっただけなのか
あるいは、過剰な報道がなされていたからなのか
ブラジルの人達は、素晴らしい優しさに溢れていたと思う
さて、対コロンビア戦
私の席は、カテゴリー1にもかかわらず、
天井にほど近い、ピッチからは、遠い遠い席
でも、選手達の動きは、良くわかる
しかしながら、周りは、完全アウェイ
コロンビア人で、真っ黄色
何人か見つけたブラジル人には、日本のグッズを渡して
日本を応援してもらえるよう頼んだけど
多勢に無勢
コロンビアの応援歌が延々と歌われ
どんなに、こちらが声援を送っても、消えてしまう
しかも彼等は、試合なんて見ていない
応援して騒ぐのが、楽しそうなのだ
ある意味
渋谷スクランブル交差点でハイタッチして騒ぐ彼等に
ちょっと似ていると思った
本当に、無邪気なのだ
PKが決まった時
コロンビアが、点を入れた時
追加点を、入れた時
伝説のゴールキーパーが出場した時
そして
コロンビアの勝利が決まった時
彼等は、狂喜乱舞し、大音響で歌い上げた
まるで、渋谷スクランブル交差点の真ん中に取り残された私
周りは、みんな、コロンビア人
踊り歌い喜ぶコロンビア人、みたいな感じ
試合終了の笛がなった後、耳を劈くような、嬌声
彼等は、幼い子供のように、こちらの顔を覗き込んで
喜びを、ヒラヒラ見せびらかした
顔を背け、遠くピッチを見下ろすと
選手がガックリと肩を落としている
・・・泣いてる ・・・
あんなに遠いから、わかるはずもないのに
選手達の泣き声が、聞こえた気がした
その途端、自分でも驚く程大きな声で
私も、泣き出してしまったのだ
嗚咽だ
きっと、寝ていないし、体が疲れているからだろう
炎天下の下を、長く歩いて、体が変になっているのだ
その上、自分の声が聞こえない程の驚喜の声で
体が、変な化学反応をしているに違いない
と、自分で、自分に言い訳してみるけど
涙は、バラバラ、バラバラ、止まらない
う、う、と、嗚咽する声が出る
たかが、サッカーで、泣くとは思わなかった
10代や20代じゃないのにね
でも、4年前、色々大変なことがあり
元気になる為に、のめり込んで来たサッカー
その区切りが、こんな形で付いてしまったことが
たまらなかったのだと思う
そして
間違いなく、選手は、これ以上だ
帰りも、目眩がするほど、長い時間を使って帰って来た
クイアバからサンパウロの飛行機は
偶然、ブラジル代表のチャーター便に乗ることが出来た
外側が、かわいらしい顔が描かれていた
これも、神様からのご褒美なのかな
色んな人が、色んなことを言う
でも、私は、「ありがとう」しかない
遠くブラジルまで行って良かった
確かに、現地に行くと、ショックは倍増になってしまうけど
でも、何か大きな宝を、体に埋め込むことが出来た気がする
日本代表のみんなも
ザッケローニ監督も
スタッフの皆様も
ゆっくり休みましょう
あの、無邪気な、でも地獄のピッチから
少し、快復しなければ、次へは進めないかもしれないね
サッカー | 17:21 | comments(7) | trackbacks(0)