実は・・・
義母の納骨を京都で済ませ帰京した翌日
私の母kazukoさんが
心筋梗塞で、緊急入院した
心臓の機能が悪くなり
レントゲンで映し出された肺には水が溜まって
真っ白になっていた
確かに、数日前から
呼吸が苦しい時間があったけれど
こんなに、酷くなっていたなんて・・・
お医者様は
いつ、どうなるか、わかりません
それが、今夜かもしれない
その時、人工呼吸器は、どうしますか?
とまで、尋ねられた
絶句し、涙が溢れた
何と言っても、kazukoさんは、92歳だ
お義母様に続いて
kazukoさんも逝ってしまうのか
正直、覚悟した
・・・しかし・・・
12日目の本日
無事に退院することが、出来た
名医のお蔭で、肺の水は排出させてもらい
なんとか、死の淵から、生還した
入院中は、本当に多くの方にお世話になった
kazukoさんは
元々、尿管を入れられていて、必要がないのに
いつも、おトイレに頻繁に行きたがる
入院中は、酸素吸入の管やら
心電図の配線もされて動き回れず
特別に、ベッド脇に
ポータブルトイレを設置してもらい
行ったり来たりの繰り返しとなった
その上
「脊柱管狭窄症」の病気が原因で
神経がつぶれているため、
足裏の激痛が絶え間なく起こり
悲鳴を上げることも、しばしば
入院していることで
何もかも、一層酷い状態になっていた
この激痛や尿意は
他のことに集中していると
少し紛れたりする時もある
そうだ!
kazukoさんの大好きなオセロは、どうだろう
オセロゲームに集中してくれれば
痛みも、軽減できるかもしれない
病室に、オセロゲームを持ち込んだ
その日から、担当の看護師さんだけでなく
病棟の看護師さん達、ほとんど全員が
毎日毎日、代わる代わる、
忙しいお仕事の合間に
相手をしてくださるようになった
時には、真夜中
足が痛くて、寝られない時
スタンドライトの下で
対戦してくださった夜勤さんもいた
また、ある時、病室を訪れると
見慣れない看護師さんが母の前に座り
真剣にオセロの牌を、めくっていらした
伺うと、病棟ではなく
外来の看護師さんとのこと
「みんな、忙しくて相手できないみたいで
私、オセロ要員として、呼ばれたんです!」
実はkazukoさん、オセロが、めっぽう強い
看護師さんも、ガチでやらないと負けてしまう
「私達も、いいリフレッシュになるんですよ!」
と、優しく気遣いながら、ニッコリ笑われた
このオセロのお蔭で
kazukoさんは、心穏やかな入院生活を送り
退院することが出来た
お医者様も、驚くような
kazukoさんの「生命力」だそうだ
無事、いつもの施設に戻り
みんなに「お帰りなさい!」と声を掛けられ
kazukoさんは
やつれた顔で、「は〜い!」と手を振った
「ママ、よく、がんばったね」と言ったら
kazukoさんが、私の顔を見上げて囁いた
「 だって・・・
稲子さん(義母)の分まで生きないと
美智子ちゃんが、悲しくなるでしょ」
胸が詰まった
生還してくれて、ありがとう
また、オセロのお手合わせ、お願いしますね
「オセロおばあちゃん」
さあ、今度は、私が勝つぞ!
施設に戻り、ホッと、安心!