母kazukoさんの老人ホームから
品川のアクアパークへの外出に
同行した
巨大なエイとか、オットセイとか、ペンギンとか
色んな魚や動物がいて楽しめるけど
なんてったって、目玉は
イルカショー!
夏休みに入る直前だったので
就学児はいなくて
小さな幼児だらけの水族館
全ての若いお母さんお父さんたちが
ヨチヨチ歩きの子供達に
すごいね〜、面白いね〜と
イルカを指差し、楽しませようとしている
私も、kazukoさんに
「ホラ見て!イルカさん可愛いよ!」
と、声をかけ
kazukoさんも、ホント!と拍手をして応えた
母の横には
108歳のおばあちゃま
kazukoさんよりも14歳も年上の方
行きの車の中では
飴がないと、駄々をこね続けてらした
「水族館に着いたら、飴、買いましょうね」
「すぐに、到着しますから、少しの辛抱ですよ」
付き添いのケアやナースの方が
次々になだめたりすかしたり
けれど、ずっと飴をせがんでいらした
でも良かった
108歳のおばあちゃまも
満足気に、イルカショーをご覧になっている
飼育員の人も、イルカ達も
全ての観客を
楽しませようと必死
若い親達は
小さな子供達を喜ばせようと
大げさに身振り手振りで、一緒に笑顔
ふふふ
みんなが、誰かを喜ばせたい
イルカが気持ちよさそうに跳ね上がり
スピードに乗って、泳ぐ
飼育員の人が小魚を与え
優しくイルカの頭を撫でる
応えるように
イルカは、水飛沫をあげながら
泳ぎ、跳ね、飛ぶ
イルカ達が、一生懸命
のびのびと演技する
その姿を、ずっと追っていたら
思わず、涙がこみ上げて来た
ビックリした
イルカショーで、私、泣く?
そんなわけないでしょ
その時、後ろに座っていたナースの方が
私の背中に、ふと呟やかれた
「なんだか、ウルウル来ちゃいますね」
え?
そうなの?
私だけじゃなかったんだ
無垢なイルカのパフォーマンスに
心打たれてしまった、私達
ショーが終わり
kazukoさんに声かけた
「どう?面白かった?」
「うん、すごくイルカ、可愛かった・・・でも」
と、声を潜めて、尋ねた
「でも・・・
隣のおばあちゃまも、楽しんでくれたかしら?」
kazukoさんは、108歳の方が
楽しんでくれたかどうか、心配していた
「大丈夫! 喜んでいらしたよ!」
kazukoさんは、あ〜、良かった!と
笑顔を見せた
おばあちゃまが、飴をねだってらした時も
心配気に見ていたkazukoさん
おばあちゃまにも
イルカを楽しんでいただけて、良かったね
みんなが、みんな、
全てのみんなが
誰かを喜ばせたくて
幸せにしたくて集まる場所
外は酷暑だけど
マイナスイオンが溢れる空気で
心底気持ちのいい空間だったね
イルカ君達の、イルカショー