コロナ騒ぎは、広がるばかり
95歳の母kazukoさんの老人ホームでも
面会が出来ず
頼み込んで、テレビ電話をお願いし
アプリのZOOMを使ってみた
でも
kazukoさんの反応は、イマイチ
動画を観ている感覚で
リアルタイムで話していることが
わかりにくい
何度かトライすればわかるかも、と
言っている矢先
kazukoさんの肩部分に出来た
帯状疱疹が酷くなり
施設の医師の指示で
急遽、大病院へ入院となった
入院のために
ようやく久しぶりに
病院で、kazukoさんと会った
「 美智子ちゃん、どうしたの?
しばらく会ってないけれど
からだ大丈夫?」
「 元気だよ!
ねえ、ママ、東京タワーよ、見て!」
病院の11階の窓には
驚くほどに大きく美しい東京タワーが見えた
kazukoさん、ふぉ〜と感心してる
車も人も少なくなった東京の空は
美しい
認知があるとは言え
物事を納得できないと
絶対受け入れることはしないkazukoさんに
今回の入院の説明をしなくてはいけない
ゆっくり説明しようと一緒に病室へ
しかし、病室の前で、突然面会謝絶
全ての面会者は、入ることは出来ません
え〜!
でもでも
まだ何も説明出来ていないのに!
kazukoさん一人、病室へ
ガックリしながら、待つことしばし
診察をした医師との面談となった
帯状疱疹はほとんど治りかけていること
「 だから、せっかく来て頂いたけど
病院は感染するリスクもありますからね
入院する必要はないですね 」
え? そうなの?
肩透かしを喰らった感じだけど
まあ・・・良かった
入院の説明も出来ていなかったからね
kazukoさん、今頃、不安になっているものね
退院か(入院もしていないけど)
良かった〜!
と、ここで
事態は、思わぬ方向へ進む
ただ、念のため
そう、ただ、念のため
血液検査をすることとなった
その結果、炎症反応が高い、と出た
続いて
今度は、CT検査となった
と、ここで
何と、肺炎の症状が見られたのだ!
「 肺炎なので、お母様は隔離されます 」
え? え〜〜〜!
隔離の個室に移され
点滴の処置が施され
限られた数の人が防護服で様子を見る
え? え〜〜〜!!
「 新型コロナの可能性があります 」
へ? え〜〜〜〜!!
そんな!
一体誰から移るの?
私は2週間も会っていないし、
施設で移ったとしたら、皆感染してる
え? もしkazukoさんがコロナだとしたら
私、さっきから
耳元で大きな声で話して
顔も触って、鼻もかんで
かなりの濃厚べったり接触者
だったら、私も感染?
そしたら
私の家には
今、病気を抱えている人がいて
どんなことあっても
絶対にコロナにはかかれないのに!
焦った私の姿を見て
慌てて若い女医さんが言った
「 あ、すみません
私の言い方が悪かったです
肺炎の方は
全てコロナの疑いがあるとの認識で
全て、3日間隔離される決まりなんです 」
PCR検査をすることが難しいため
丸3日間、隔離して
炎症反応が治るかどうか見るとのこと
いや、でも
kazukoさんは何もわかっていないのに
突然、私と引き離され
部屋に入ってくる人は防護服の人達
しかも、点滴を抜かないため
両手は、ミトンの手袋をされて
ベッドの中に、監禁状態
どんなにか不安で
パニックになることだろう
しかし、どんなに交渉しても
もちろん会うことは出来ない
せめて、3日間の様子だけでも
教えて欲しいとお願いしたが
こちらから問い合わせて伝えることは
プライバシーの保護で難しいとのこと
それからの3日間
生きた心地がしなかった
もしコロナだったら
もし、このまま帰らない人になったら
一生会わせてもらえなくなる
たとえ、コロナでなくても
ミトンを振り回して怒り
パニックになっているkazukoさんの姿が
何度も夢に出てきた
そして3日後
ドキドキしながら、医師との面談をした
「 炎症反応も、かなり治まりました
肺炎は、誤嚥性肺炎と考えられます
明日、退院しても、いいでしょう 」
全身の力が抜けた
4日後
退院するため
隔離されていたkazukoさんの部屋を訪れた
認知のあるkazukoさん
入院するたびに、どうしても認知は進む
今回の、尋常じゃない、監獄のような入院で
私のことが分からなくなっていないかしら
言葉を忘れていないかしら
「 あ、美智子ちゃん
これ!これ!これ取って〜〜!」
kazukoさん、両手をバンバンと
布団に叩きつけている
見ると、まだミトンが、両手に嵌められていた
怒りの表情だけど
ちゃんと私のことはわかってくれたよ
すぐに看護師さんを呼び
厳重に鍵がつけられたミトンを外してもらった
良かった、良かった!
今、世界中にウイルスが蔓延していること
だから、kazukoさんも、隔離されたことなど
耳元で、大きな声で、何度も説明した
「 戦争?」
前に説明した時も
kazukoさんが、そう言ったっけ
その時、私は否定したと思うけど
今回は否定できなかった
「 うん・・・それに似てる 」
いろんな話をして
ようやくkazukoさん、落ち着いて
退院とあいなった
でもね
施設に戻ると、また会えなくなった
もうこれはしょうがない
テレビ電話に慣れてもらうしかないかな
母 Kazukoさん | 14:29 | comments(4) | -